大谷中学校高等学校
いじめ防止基本方針

Anti bullying

第1章
 
いじめ防止に関する本校の考え方

1 基本理念

 いじめは、その生徒の将来にわたって内面を深く傷つけ、生徒の健全な成長に影響を及ぼす人権に関わる重大な問題である。従って全教職員が、いじめはもちろん、いじめをはやし立てたり、傍観したりする行為も絶対に許さないという毅然とした姿勢で、どんなに些細なことであっても、親身になって生徒や保護者の相談に応じることを決して忘れてはならない。そして、その姿勢が、いじめ事象の発生・深刻化を防ぎ、いじめを許さない生徒の意識を育成することに繋がる。そのためには、学校として教育活動の全てにおいて生命や人権を大切にする精神を貫くことや、教職員自身が、生徒の一人一人を多様な個性を持つかけがえのない存在として尊重し、生徒の人格のすこやかな発達を支援するという生徒観、指導観に立って指導を徹底することがたいせつである。
 本校では、創立以来、親鸞聖人の教えに基づいた宗教的情操の涵養と、自己が無数の「いのち」に支えられていることを自覚し、感謝の心を捧げつつ生きてゆこうとする「報恩感謝のこころ」を建学の精神としており、「いのち」の尊さを生徒に伝えるべく、日本国憲法に基づき基本的人権を尊重し、差別を許さない人間形成をはかることを目標として、人権教育を推進している。いじめは重大な人権侵害事象であるという認識のもとに、平成25年9月28日に施行された「いじめ防止対策推進法」、さらに同10月11日に策定された「国の基本方針」に従い、ここに本校のいじめ防止基本方針を定める。

平成25年12月策定

2 いじめの定義

 「いじめ」とは、「生徒に対して、当該生徒が在籍する学校に在籍している当該生徒と一定の人的関係にある他の生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった生徒が心身の苦痛を感じているもの」をいう。

具体的ないじめの態様は、以下のようなものがある。

3 いじめ防止のための組織

(1)名称

「いじめ防止対策委員会」(生活指導委員会を母体とする)

(2)構成員

校長、教頭、生活指導部長
生活指導主任、各学年主任、当該学級担任、宗教主任、人権教育主担、生徒会代表顧問
養護教諭 (必要に応じてスクールカウンセラーをはじめ外部専門家等の協力を要請する)

(3)役割

ア 学校いじめ防止基本方針の策定
イ いじめの未然防止
ウ いじめの対応
エ 教職員の資質向上のための校内研修の企画と実施
オ 年間計画の企画と実施
カ 年間計画の進捗状況点検
キ 各取り組みの有効性の検証
ク 学校いじめ防止基本方針の見直し

4 年間計画

本基本方針に沿って、以下の通り実施する。

①「いじめ防止対策委員会の開催」
本委員会の母体は、「生活指導委員会」であるので、毎週1回の定例会議の中で、「いじめ事案」を含めた生徒の問題行動について協議・検討を行い、さらに必要が生じた場合、本委員会を開催する。

②「生徒に対するいじめ実態の把握」
生徒のいじめ実態の把握としては、6月と11月の年2回全校生徒対象に「いじめアンケート」を実施。さらに各担任により生徒との個人面談を定期的に実施することにより詳細な情報を入手して「いじめ実態把握」に努める。

③「人権教育の展開」
学年または学級単位で実施する「人権教育」については、少なくとも年間5時間を原則として、実施する。なお、各学年の学習テーマは、次の通りである。

[中1]「身近な差別(仲間づくり) 」
[中2]「外国人差別」
[中3]「平和学習」

[高1]「障がい者差別」
[高2]「部落差別」
[高3]「人権を守り育てる未来への展望」

※これらのテーマは、固定したものではなく、各学年の生徒の実態に照らして、柔軟に対応しながら、授業を展開するものとする。

④「学校行事の有効活用」
本校は、中・高6年一貫教育を実践しており、学校行事については、そのほとんどを中・高一緒に実施している。従って、各学期の行事を最大限に活用することによって、学年を越えて「縦の人間関係」を学ぶための機会となるように、生徒への意識付けを念頭においた指導を今後も心掛ける。

第2章 いじめ防止

1 基本的な考え方

 いじめの未然防止にあっては、教育・学習の場である学校・学級自体が、人権尊重の考え方が十分に行き届いた環境であることが求められる。そのことを基盤として、人権に関する知的理解及び人権感覚を育む学習活動を各教科、特別活動等の時間のそれぞれの特質に応じて、生徒が他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性を身につけ、対等で豊かな人間関係を築くことができるよう工夫をこらしながら総合的に推進する必要がある。そうした中で、当事者同士の信頼ある人間関係づくりや人権を尊重した集団としての質を高めていくことが必要である。いじめ問題においては、未然防止が最も重要であるが、そのためには、すべての教職員が「いじめは、どの学級、どの学校にも起こりうる」という認識をもって取り組む必要がある。
 本校は、「いのち」には、絶対的な尊厳があり、しかも互いに支え合いながら存在することを説く仏教(浄土真宗)の教えを要とした宗教教育により、お互いを「いのち」を見る目で見つめ合い、感謝の心で接し合うことができるような人間関係を構築できる人物の育成を目標として、日々の教育活動を展開している。このような建学の精神に基づいた教育活動の実践が、ひいてはいじめの未然防止に繋がるであろうと考える。

2 いじめ防止のための体制

3 いじめ防止のための措置

 平素からいじめについての共通理解を図るため、各学年会議においては、当該学年の生徒の現状について詳細に情報交換をして、当該学年所属のすべての教職員が常に問題意識を持ちながら、情報共有できるように努める。授業についても、各教科担当者は、すべての生徒が授業に参加でき、授業場面で活躍できるよう「わかる授業」を目指して授業改善に積極的に取り組むと同時に、担当クラスにおいて、いじめと感じとられるような兆候があったときには、逐一学年に報告をする。また、教職員の差別的な態度や言動が、生徒の心を傷つけたり、他の生徒によるいじめを助長したりすることのないよう指導の在り方には細心の注意を払わなければならない。そのためにも、教職員一人一人が日頃から自己研鑽を積むことは当然であるが、全教職員を対象とした研修会を定期的に実施することにより教職員の資質向上に資するものとする。
 また、生徒が自ら「いじめ」について学び、取り組む方法として、各学級でのLHRや「宗教」の授業のみならず、講堂朝礼等の学年集会や全校集会等あらゆる機会を最大限に活用して、いじめを許さない学校風土の醸成に努める。

第3章 早期発見

1 基本的な考え方

 いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装っておこなわれたりすることが多いことを教職員は十分認識し、些細な兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持ち、子どもの何気ない言動の中に、心の訴えを感じ取る鋭い感性や潜んでいるいじめの構図に気付く深い洞察力が求められる。生徒の示す些細な兆候を見逃さないためにも、日常の生徒へのこまめな声かけはもちろんのこと、授業間の休憩時間・昼休み・放課後といった時間帯の生徒の様子には十分に目を配らなければならない。

2 いじめ早期発見のための措置

 実態把握の方法としては、各学級において、学級担任が担当クラスの生徒と個人面談を定期的に実施することや、生活ノート等により、生徒とのコミュニケーションが緊密にとれるように工夫をし、毎週開催される学年連絡会議の中で、各クラスの情報交換を丁寧に行い、いじめ事案の早期発見・早期対応に努める。また、学期毎に実施される保護者会はもとより、必要に応じて当該生徒の保護者とは、日頃から十分な連絡を取り合って、学校と家庭との情報交換をこまめに行う。そのためにも、生徒や保護者が話しかけやすい雰囲気づくりを心掛けることが大切である。さらに、教職員の方から積極的にスクールカウンセラーとも連携をとりながら、指導にあたるようにする。

第4章 いじめに対する考え方

1 基本的な考え方

 いじめにあった生徒のケアが最も重要であるのは当然であるが、いじめ行為に及んだ生徒の原因や背景を把握して指導にあたることが、再発防止には大切である。
 近年の事象において、いじめた生徒自身が深刻な課題を抱えている場合が多く見られ、相手の痛みを感じたり、行為の悪質さを自覚することが困難な状況にある場合がある。従って、いじめた当事者が自分の行為の重大さを認識し、心から悔い、相手に謝罪する気持ちに至るような継続的な粘り強い指導が必要である。いじめを受けた当事者は、仲間からの励ましや教職員や保護者等の支援、そして何より相手の生徒が自己変革する姿に、人間的信頼回復のきっかけをつかむことができるであろうと考える。そのような、事象に関係した生徒同士が、豊かな人間関係の再構築をする営みを通じて、事象の教訓化を行い教育課題へと高めることが大切である。

2 いじめ発見・通報を受けたときの対応

(1)

いじめの疑いがある場合、些細な兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わる。遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止めたり、生徒や保護者から「いじめではないか?」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。
その際、いじめられた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保するよう十分に配慮する。

(2)

教職員は、問題を一人で抱え込まず、速やかに当該学年主任に報告、学年主任を通じて、いじめ防止対策委員会(生活指導部長)に情報伝達を行う。その後は、当該組織が中心となって、速やかに関係生徒から事情を聴き取り、いじめの事実の有無の確認を行う。

(3)

事実確認の結果、いじめが認知された場合、校長が理事長に報告し、状況に応じて、私学・大学課等の関係機関と相談する。

(4)

被害生徒・加害生徒の保護者への連絡については、家庭訪問等によってより丁寧に行う。

(5)

いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認められるときは、いじめられている生徒を徹底して守り通すという観点から、所轄警察署とも相談し、対応方針を検討する。なお、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求める。

3 いじめられた生徒又は保護者への支援

 いじめた生徒への指導はもちろんであるが、まずは、いじめられた生徒が落ち着いて教育を受けられる環境を確保することを優先し、いじめられた生徒に寄り添い支える体制をつくる。その際、いじめられた生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族等)と連携し、いじめ防止対策委員会が中心となって対応する。状況に応じて、スクールカウンセラーの協力を得ながら対応を行う。

4 いじめた生徒への指導又はその保護者への助言

(1)

速やかにいじめをやめさせた上で、いじめたとされる生徒からも事実関係の聴取を行う。いじめに関わったとされる生徒からの聴取にあたっては、個別に行うなどの配慮をする。

(2)

事実関係の聴取後は、迅速にいじめた生徒の保護者と連携し、協力を求めるとともに、継続的な助言を行う。

(3)

いじめた生徒へは、毅然とした態度で指導に当たり、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを十分理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。なお、いじめた生徒の抱える問題など、いじめの背景にも目を向けて、当該生徒の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。

5 いじめが起きた集団への働きかけ

(1)

いじめを見ていたり、同調していたりした生徒に対しても、自分の問題として捉えさせなければならない。そのために、まず、いじめに関わった生徒に対しては、正確に事実を確認するとともに、いじめを受けた者の立場になって、その辛さや悔しさについて考えさせ、相手の心の悩みへの共感性を育てることを通じて、行動の変容に繋げる。また、同調していたり、はやし立てたりしていた「観衆」、見て見ぬふりをしていた「傍観者」として行動していた生徒に対しても、そうした行為がいじめを受けている生徒本人にとっては、いじめによる苦痛だけではなく、孤独感・孤立感を強める存在となっていることを理解させる。「観衆」や「傍観者」の生徒は、いつ自分がいじめの対象となるかもしれないという不安を持っていることが考えられるので、すべての教職員が「いじめは絶対に許さない」「いじめを見聞きしたら、必ず先生(身近な大人)に知らせることがいじめを無くすことに繋がる」ということを生徒に徹底して伝える必要がある

(2)

いじめが認知された際、被害・加害の生徒たちだけの問題とせず、学校の課題として解決を図る。すべての生徒が、お互いを尊重し合い、認め合う集団づくりを推進するため、学級担任が中心となって生徒一人一人を大切にして学級経営をするとともに、すべての教職員が支援し、生徒が他者と関わる中で、自らの良さを発揮しながら学校生活を安心して過ごせるように努める。そのため、認知されたいじめ事象について地域や家庭等の背景を理解し、学校における人権教育の課題として教訓化し、これまでの生徒への対応の在り方を見直す。体育大会や文化祭、球技大会や校外学習等の学校行事を生徒が人間関係づくりを学ぶ絶好の機会として捉え最大限に活用しながら、意見が異なる他者とも良好な人間関係を作っていくことができるよう適切に支援する。

6 ネット上のいじめへの対応

(1)

ネット上の不適切な書き込み等があった場合、まず学校として、問題の箇所の確認をし、その箇所を印刷・保存するとともに、いじめ防止対策委員会において対応を協議し、関係生徒からの聞き取り等の調査、生徒が被害にあった場合のケア等必要な措置を講ずる。

(2)

書き込みへの対応については、削除要請等、被害にあった生徒の意向を尊重するとともに、当該生徒・保護者の精神的ケアに努める。また、書き込みの削除や書き込んだ者への対応については、必要に応じて、大阪法務局人権擁護部や所轄警察署等の外部機関と連携をとる。

(3)

また、情報モラル教育を推進するため、教科「技術・家庭」、「情報」において、「情報の受け手」として必要な基本的技能の学習や「情報の発信者」として必要な知識・能力を学習する機会を設けると同時に、「情報倫理」についても、これまでよりもより一層手厚い指導を入れていく。

平成31年3月改定